今週の説教要旨(2017.7.16)

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説教題「 生命にいたる門 」
マタイによる福音書7章1~14節

私たちの世界は災害、事故、事件が絶えません。世界でのテロ、学校でのいじめ、家庭でのDVや引きこもり、職場での過労死。個人には病気や障害、憎しみや孤独という悲惨があります。苦しみの多いこの世界で何を希望に生きていったらよいのでしょうか。さて、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』、キリスト教の伝説にもよく似たお話があります。キリスト教に傾倒していた芥川が、その話を翻案したのかもしれません。天から垂らされる蜘蛛の糸は、神様が私たちに与えようとしている救いとみることができます。この蜘蛛の糸は、神様と私たちの縦の関係をあらわしているのです。この小説の主人公は、この糸を頼りによじ登ってくる人々を蹴落としてしまいます。主人公と人々との関係が横の関係をあらわしているのです。隣人に仕えることができない者は、救いにあずかる資格がありません。このお話の主人公は再び地獄にと落ちていきます。
私たちは、この世界でキリストの愛のわざを実践しつつ、天の神様を仰ぎ見るのです。もし、天から垂らされている一本の糸がなければ、私たちには希望がありません。この一本の糸が私たちと神様をつなぐものとなるのです。この糸を見失わないように、また、切ることがないように生きたいものです。