今週の説教要旨(2017.11.5)

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説教題「 嘆き悲しまないために 」
テサロニケの信徒への手紙一4章13~18節

日本基督教団は、11月第一主日を「聖徒の日・永眠者記念日」としています。原町教会も117年の伝統を持ち、多くの先達、また関係者の方に支えられて教会の歩みを続けてまいりました。
 さて、天童荒太さんの小説の主人公は、「悼む人」と呼ばれる坂築静人という青年です。この坂築静人が、日本全国を旅して歩き、死者を記念して、おぼえる「悼み」の儀式を繰り返します。この物語は、彼の不思議な行動を中心に展開していきます。多くの方が毎日、亡くなっていきますが、いつしか人々の記憶から忘れられていき跡形もなくなります。これはひとつの恐怖です。ですからせめて、誰かの心に自分の存在が刻み付けられたい。このような気持ちが、この小説の中の「悼む人」をつくりあげていったのではないかと思います。
ところが、聖書では、使徒パウロは「嘆き悲しむ必要がない」と私たちに告げます。それは、最後の時に、キリストを通して、私たちが先に亡くなられた方とともに、永遠の命にあずかるというのです。そして、その時まで、希望を持って生きなさいというのです。永眠者記念日はこの希望を確認する日でもあるのです。