今週の説教要旨(2019. 11. 17)

11月17日花

説教題「 救いの希望 」
出エジプト記 2章1節~10節
 今日の聖書は「希望と救いの物語」です。主人公は、やがて神の家の出エジプトを導くことになる英雄モーセです。最後のところではそのモーセという名前の意義を言葉遊びで語っています。彼は水の中から引き上げられた。それはヘブライ語で「引き上げる、導き出す」者ということです。モーセはたしかに神の家が奴隷の家エジプトから脱出し、引き上げ、導き出すリーダーとなりました。皆、神がそうなさったことです。
モーセとイエス・キリストとは、その誕生と新生児の時の状況が、とても似ていることがここでわかります。彼らはこの世の闇を象徴するような、権力者による民族大量虐殺(ジェノサイド)計画のさなかに生まれてきたのでした。しかし不思議な導きで、低さと弱さと柔らかさを象徴するような人々によって守られ、辛くも生き延びたのでした。かたや水の中を箱舟のような籠の中で命守られ、かたや人の住まない家畜小屋の暗がりの飼い葉おけの中、ぼろ布にくるまれて守られたのでした。そしてやがて長じて彼らは神の家の人々を、死の家・奴隷の家に閉じ込められて喘ぐ虜のような状態から救い出し、解放し、導き出すリーダーとなります。自ら命を救われた者こそほかの人を引き上げ、導き出す者となる、ということでもあるでしょう。
今日は、差し迫る大きな力によって、人間には生きていくのが困難と思われる、生きていく可能性がないと思われるところにもなお希望が差し伸べられる、ということ。神が必ず自らの民を引き上げ、導き出して下さる希望を、わたしたちは今日の主日に、このところから聞くのです。わたしたちの暗闇、絶望のところからの、神の民の命の救いの希望です。