今週の説教要旨(2020. 1. 5)

1月5日説教題

説教題「 光あれ 」
ヨハネによる福音書 1章1節~18節
 クリスマスの光の中に新年が始まった。正月の光もクリスマスの光の中にあったのだ。これらの言葉は、わたしにとって、だいぶ力みなく言えるようになってきた。皆さんはどうだろうか。私にとって負け惜しみでなく恵み深い真実であるこのことは、初任地での経験に基づいたものでもあった。広島県尾道と言えば寺の町である。中世から天然の要害、良港として知られ、漁業と通商の要として瀬戸内圏を牛耳っていた。彼ら豪商はそれぞれがそれぞれのお寺さんを建てるほどに栄え、一時は70を超える寺院が海に面して細い道でつながって1キロも続こうかとひしめいていた。それらは小高い山や丘の斜面沿いに所狭しと並び立ち、町と港と多島海を見降ろして構え、睨みをきかせていた。松の内の朝、県重要文化財を所蔵するある寺の大黒さんが面と向かって私にこう言ったのだった。「初めての尾道の正月、クリスマスの後の正月はどんなですか?」神学校を卒業したばかりの私は、これはいかん、と思った。尾道の人は皆そう思っている?いや世の中の人は皆同じ?と。
確かにクリスマスの光、世を照らす神の御子イエス・キリストのまことの光に照らされて、私たちは新年を迎えた。しかし今日の聖書には、言のうちに宿る命こそが、光なのだとある。キリストの命が世の闇を照らす光であり、神の言葉が闇の中を生きる命の光なのである。私たちはマリアと共にこの命の光を宿した。クリスマスにキリスト(言)を受け入れたのである。離れずに、この言葉を宿し、この言によって生きていこう。この命の光の、恵みから恵みに生かされていこう。
「言は肉となって、わたしたちの間に宿られた。わたしたちはその栄光を見た。」「わたしたちは皆、この方の満ち溢れる豊かさの中から、恵みの上に、更に恵みを受けた。」(14,16節より)クリスマスの光こそ世を生かす命の光。暗闇に輝くイエス・キリストの復活の光。父なる神が、光あれと言われた、あの光である。