今週の説教要旨(2020. 3. 22)

3月22日花④
説教題「 葬りの香油 」
ヨハネによる福音書 12章 1~8節
 過越祭の六日前に、という書き出しです。つまり主イエスの最後の地上での一週間に入りました。さてその日、永遠に香りを放つかのような記念すべき不思議な出来事が起こりました。ある女性が主イエスに油を注いだのです。その香りは部屋いっぱいに満ちました。「そのとき、マリアが純粋で非常に高価なナルドの香油を1リトラ持ってきて、イエスの足に塗り、自分の髪の毛でその足をぬぐった。家は香油の香りでいっぱいになった。」原町教会のチャペル空間いっぱいにナルドの香油の香りが充満するイメージをしてください。不思議な雰囲気に包まれてしまいます。
今でもこの香りにむせびます。この油注ぎはなんでしょう。その意味は二つあると言われています。貴人の葬りと、キリストの即位です。一つ目は貴人へ礼として、葬りの際に香油を塗り包帯で巻いて差し上げたのでした。二つ目は預言者や王の即位即ち神からの任命の際に油が注がれた、あのメシア・キリストとしての油注ぎです。この香油の香りは主イエスの十字架の死と復活を告げているのです。更に、髪で足を拭う行為は希れに見る謙遜、愛情、感謝の表現です。こうして屋根をすり抜けて天へと立ち昇る放香に感謝のイメージが二重写しに見えてきます。このナルドの香油の油注ぎによって世界はこの放香で満ちました。そして今も満ちているのです。彼女の行為は預言的でした。六日後にイエス・キリストが世のために、あなたのために葬られたのです。その三日後にはイエス・キリストは死人の中からよみがえられるのです。あなたのために復活されたのです。彼女の行為は預言的であると同時に証しとなりました。いつまでも福音と共に語り継がれ記念されることになりました。 
「はっきり言っておく。世界中どこでも、この福音が宣べ伝えられる所では、この人のしたことも記念として語り伝えられるだろう。」(マタイ26:13)わたしどもも精一杯の香油注ぎをイエス様にしてさしあげたい。その時、わたしどものしたことも、主イエスの福音と共に記念として語り伝えられることになるのです。