国立療養所 東北新生園訪問

DSCN1240
11月13日(月)、東北教区差別問題特設委員会の主催で行われた「国立療養所 東北新生園訪問」に参加しました。私にとってハンセン病療養所の訪問は初めてのことで、その歴史を学び理解をするうえで大変よい機会となりました。ハンセン病は「らい菌」による感染症ですが、「らい菌」は感染力が弱く非常にうつりにくい病気だそうです。たとえ感染しても現在の日本の環境下(衛生状態、栄養事情など)では発病することはまれで、効果的な薬も開発されたので、発病しても早期に適切な治療を行えば、後遺症を残さず治るといいます。けれども以前はコレラやペストのような恐ろしい伝染病と考えられ、ハンセン病の患者さんはすべて療養所に強制隔離されていたのです。
DSCN1237
もみじの赤が美しく映えるこの東北新生園は、全国に13ある国立療養所の一つで、1939年に開設されました。現在入所しておられる方は70名、平均年齢は87歳とのことです。今は立派な病院のように見える療養所ですが、ここは入居者の方たちが開墾し、1本1本樹を植え、建物を建てて作った「ひとつの村」なのです、という職員の方の言葉が印象的でした。
DSCN1234
ここは園内にある霊安所。いまだ故郷に帰ることができないお骨がたくさんあるそうです。
DSCN1243
こちらの建物は今は資料館となっていますが、以前は小中学校の校舎として使われていたそうです。ハンセン病を発症し、親元から引き離されて療養所に隔離されたこどもたちの学び舎でした。資料館をめぐりながら、当時のこどもたちの心中を想像すると胸がつまる思いでした。

午後からは、入所者でクリスチャンであられる男性の方のお話を聞き、交流の時を持ちました。10歳の時に療養所に来られた方でした。私には想像もできない長い、深い悲しみがあったでしょうに、その方から感じたのは神様へのゆるぎない信仰と、これからもここで生きていくという静かな決意でした。ハンセン病への誤った差別偏見はなくなりつつあるのかもしれませんが、対象を変え、形を変えて私たちの心の中に常にある差別する心、を考えさせられた一日でした。