今週の説教要旨(2019.2.24)

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説教題「 無垢 」
ヨブ記2章1~10節

ヨブ記の大きなテーマは、正義の神様が支配されているこの世界で悪がはびこり、善人がひどい目にあうという理不尽がなぜ起きるか、ということです。ヨブ記1章2章のヨブはその疑問にひとつの答えを提示しています。それは、「無垢」であり続けることです。彼の妻は、「どこまでも無垢でいるのですか。神を呪って死ぬ方がましでしょう」となじりました。この言葉は私たちの心の声を代弁していると言っても良いでしょう。確かにどこまでも無垢でいることは、世の理不尽に対するひとつの答えであると思います。どんな理不尽に遭おうと「裸でそこに帰ろう」という確信が持てたなら、なんといさぎの良いことでしょうか。
「無垢」な人と聞いて思い浮かぶのは遠藤周作の小説『おバカさん』のガストンです。彼はフランスからある決意を持って日本に渡ってきました。それはとことん人を信じるということでした。彼は案の定、悪人に利用されボロボロになります。そこに作者はイエス様を投影したのでしょう。そして、私たちはとうていガストンのようには生きられないことを思い知らされます。
しかし、神様は私たちに無垢になるように求められませんでした。憐れみによってイエス・キリストという無垢な者を与え、私たちをあるがままで無垢の存在に変えてくださったのです。私たちは、ヨブやガストンのような人間にはなれませんが、神様が変えてくださるのです。このことを求めつつともに歩みましょう。